• ホーム >
  • IBLニュース一覧 >
  • 【論文紹介】血中ANGPTL2濃度と死亡リスクの関連― 日本人若年高齢者コホート研究 ―

IBL ニュース

製品関連 ニュース

製品関連2026/06/18
【論文紹介】血中ANGPTL2濃度と死亡リスクの関連― 日本人若年高齢者コホート研究 ―
本IBLニュースで紹介している当社の製品は、研究用試薬であり、診断や医療目的に用いることはできません。
 
 加齢に伴い、体内では慢性低度炎症(inflammaging)が進行することが知られています。この状態では、IL-6やCRP、TNF-αなどの炎症性因子が上昇し、癌や心血管疾患、死亡リスクの増加と関連します。
 Angiopoietin-like protein 2(ANGPTL2)は、組織恒常性の維持や炎症応答、組織リモデリングに関与する分泌タンパクです。一方で、不健康な生活習慣(過剰摂食や運動不足など)によりその分泌が亢進すると、慢性炎症や不可逆的な組織変化を引き起こし、癌や動脈硬化、代謝疾患の進展に寄与することが示されています。
 これまでに、血中ANGPTL2濃度は糖尿病や心血管疾患などの発症リスクと関連することが報告されていますが、地域一般住民における死亡予測との関連は十分に検討されていませんでした。

 北海道大学大学院 医学研究院 玉腰暁子 教授 らの研究グループは、地域在住の若年高齢者(64歳)を対象に、血漿ANGPTL2濃度と死亡リスクの関連を評価しました。

 本研究は、日本の地域コホート(NISSIN study)を用いた症例コホート研究です。血漿ANGPTL2は、ELISAで測定され、統計解析では、性別、生活習慣、既往歴、BMI、炎症マーカー(hs-CRP)など多くの交絡因子を調整したCox回帰モデルが用いられました。

【研究対象および期間】
 ベースライン参加者: 3,073人(64歳)
 サブコホート: 714人(無作為抽出)
 死亡症例: 387例
 追跡期間: 最大約20年間(~2015年)

その結果、主に以下のことが示されました。
―――――――――――――――
・ベースラインの特徴
 死亡例では、サブコホートに比べてANGPTL2濃度が有意に高値
 hs-CRPや尿酸など炎症・代謝指標も高値

・全死亡との関連
 血漿ANGPTL2濃度が最も高い群(第4四分位)では、最も低い群に比べて有意にリスクが増加
 全死亡リスク:約1.86倍(HR 1.86, 95%CI 1.22–2.83)
 *この関連はhs-CRPを含む多変量調整後でも有意

・癌死亡との関連
 ANGPTL2高値群では癌死亡リスク:約2.08倍(HR 2.08, 95%CI 1.24–3.50)
 と有意な関連を確認

・非癌死亡との関連
 最終調整モデルでは統計学的有意差は認められなかったが、ANGPTL2上昇と正の関連傾向を確認

・サブグループ解析(喫煙者、多量飲酒者、フレイル群)
 群間で関連の強さに統計学的な有意差(相互作用)は認められなかった
 一方、ANGPTL2と死亡リスクの正の関連を各群で確認
―――――――――――――――

 ANGPTL2は老化細胞から分泌されるSASP因子の1つであり、血中ANGPTL2高値は、老化の加速と慢性炎症状態を反映する可能性があり、死亡リスクの上昇と関連することが示唆されました。また、hs-CRPで補正後も関連が維持されたことから、ANGPTL2は既存の炎症マーカーとは異なる情報を反映している可能性が考えられます。また、ANGPTL2は既報において腫瘍増殖、転移、炎症性腫瘍環境に関与することが示されており、本研究の結果(癌死亡との関連)はこれらの知見と整合します。

 本研究は、若年高齢の一般住民において、血漿ANGPTL2濃度が死亡リスク(特に癌死亡)と独立して関連することを示した初めての報告です。ANGPTL2が慢性炎症および老化に関わる分子として、予後との関連を示すバイオマーカーとなり得る可能性が示唆されました。高い血中ANGPTL2濃度は死亡リスクの上昇と有意に関連しており、今後のさらなる検証により、将来の疾患発症および予後に対するリスク層別化への応用が期待されます。

詳しくは下記よりご参照ください。

Wenjing Zhao et al.
Plasma Angiopoietin-Like Protein 2 Levels and Mortality Risk Among Younger-Old Japanese People: A Population-Based Case-Cohort Study
J Gerontol A Biol Sci Med Sci. 2022; 77(6):1150-1158.


当社ではANGPTL2を含む老化研究関連の ELISAキット を豊富に取り揃えており、検査サービス も行っております。

皆様の研究活動にお役立て頂ければ幸いです。
お気軽に お問合せ ください。

株式会社免疫生物研究所
抗体関連事業本部 営業部
TEL: 0274-50-8666
Email: do-ibl@ibl-japan.co.jp
 

株式会社免疫生物研究所(IBL)~抗体開発への想い(社長メッセージ)~

株式会社免疫生物研究所(IBL)~抗体開発への想い~

LipoSEARCH® - リポタンパク質詳細分析 (特許取得済み GP-HPLC Systems)