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製品関連2022/12/16
早産児の臍帯血におけるコレステロール取り込み能(CUC)

本IBLニュースで紹介している当社の製品は、研究用試薬であり、診断や医療目的に用いることはできません。

日本大学医学部 小児科学系 小児科学分野 准教授 長野伸彦 先生らの研究グループは、早産児の臍帯血のコレステロール取り込み能(CUC;  cholesterol uptake capacity)と身体計測値、HDL-C値およびHDLサブクラスの関係について下記論文に報告しました。

Kazumasa Fuwa et al.Cholesterol Uptake Capacity in Cord Blood of Preterm Infants Clin Lab. 2022 Oct 1;68(10).

<背景>
ヒト胎児においてHDLが主要なコレステロールのキャリアーであることが先行の研究により究明されています。それらの報告は新生児においてHDL-C、とりわけ大型のHDLが正常な発育と関係し、ヒト胎児の臍帯血では成人と比較して大型のHDL-Cが比較的高いこと、また自己でのコレステロール産生が殆どできず低コレステロール血症となるSLOS(Smith–Lemli–Opitz syndrome)では胎盤からのHDLを介したコレステロール引き抜き能(CEC)が健常な胎児より亢進しているなどです。一方で早産児におけるコレステロール取込能(CUC)は十分な研究がなされておらず、早産児のCUCとコレステロール輸送の関係については不明でした。

論文では58名の早産児について、在胎不当過小(SGA; small-for-gestational age)であった20名と在胎週数相当(AGA; apropriate-for-gestational age)であった38名の臍帯血におけるCUC、身体計測値、HDL-C値およびHDLサブクラスを比較しています。
この結果、早産児においてSGAでは AGAと比較してHDL-CとCUCのレベルが有意に低く、HDL-Cはサブクラスではvery large HDL-C、large HDL-C、medium HDL-Cが有意に低かったこと、またCUCは出生時の体重、身長、頭囲と正の相関を示すこと、CUCはHDL-C、very large HDL-C、large HDL-C、medium HDL-Cと強い正の相関を示すことを明らかにしました。
論文では早産児におけるCUCはlarge HDL-C、medium HDL-Cと強い正の相関を示したことから、胎児の正常な成長と関係し、大型もしくは中型のHDLによりコレステロールを母体から胎児に転送する能力を示している可能性があると結語しています。


本論文では、コレステロール取り込み能(CUC)の測定について、弊社が代理店となっているシスメックス㈱のHDL機能受託測定サービスが使用されています。また、GP-HPLC法によるHDLサブクラスを含むリポタンパク脂質詳細分析に当社LipoSEARCH®が使用されています。

<コレステロール取り込み能(CUC)について>

HDL-Cは心血管疾患の予防や管理において重要な指標の一つであることが知られています。また、近年の臨床研究では、HDL-Cだけではなく、HDLのサブクラス、粒子数、機能評価が注目されています。
HDL機能評価には、従来、HDLのコレステロール引き抜き能(Cholesterol Efflux Capacity; CEC)が用いられてきましたが、培養細胞や放射性同位体による標識などの煩雑な工程が必要でした。最近、CECに代わってHDLのコレステロール取り込み能(Cholesterol Uptake Capacity; CUC)を全自動免疫測定装置(Hl-1000)を使用し、迅速かつ簡便に評価する方法がシスメックス(株)により開発され、HDL機能の評価に活用されています。

皆様の研究活動にお役立て頂ければ幸いです。
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