IBL ニュース

製品関連 ニュース

製品関連2021/04/02
尿中Titin N-fragmentと筋萎縮性側索硬化症の進行予測

本IBLニュースで紹介している当社の製品は、研究用試薬であり、診断や医療目的に用いることはできません。

名古屋大学大学院医学系研究科神経内科学 教授 勝野 雅央先生の研究グループは、神経難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)について、ALS患者70名、健常者43名の尿中Titin N-fragment、尿中p75ECD、血中Neurofilament軽鎖(NfL)測定、運動機能評価を行い、疾患の進行度や予後予測に利用可能な指標となるか検討しました。この結果、尿中Titin N-fragmentを尿クレアチンで補正した値(titin/Cr)はALS患者で有意に高く (ALS 27.2 pmol/mg/dL, 健常者5.8 pmol/mg/dL, p<0.001)、ALSの運動機能評価尺度であるALSFRS-Rスコアと相関(r=-0.422, p<0.001) していたこと、またTitin N-fragmentが高値の患者は予後不良であったと明らかにしました。

Yamada S et al. Ratio of urinary N-terminal titin fragment to urinary creatinine is a novel biomarker for amyotrophic lateral sclerosis. J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2021 Mar 18:jnnp-2020-324615.

(背景)
ALSは運動ニューロンが変性するために全身の筋肉が萎縮して筋力、運動機能が低下し、嚥下障害、呼吸筋麻痺などが急速に進行する難治性疾患です。現在ALSに対して2 種類の薬が薬事承認されていますが、いずれもその効果は十分ではなく、またALSの重症度を定量的に評価する方法や予後を非侵襲的に推測する方法は十分に確立されていません。

本報告において尿中Titin N-fragment及び尿中p75ECDは、ALSFRS-Rと負の相関を認めたことから、ALSの重症度を反映するマーカーであることが示唆されました。また、尿中Titin N-fragment高値がALS患者の生存予測因子であることが示され、予後因子の多変量解析において、尿中Titin N-fragmentと血清NfLは予後不良の独立した因子でした。

以上から、尿中Titin N-fragmentはこれらの既存のマーカーと組み合わせることで、ALSの重症度および進行速度の推定、予後予測を行う有用な指標となる可能性があると結語されています。

本論文では、尿中Titin N-fragmentの測定に、当社 #27900 Titin N-fragment Assay Kit - IBLが使用されています。

皆様の研究活動にお役立て頂ければ幸いです。

お気軽にお問合せください。

株式会社免疫生物研究所
診断・試薬事業本部
営業部

TEL: 0274-50-8666
Email: do-ibl@ibl-japan.co.jp